「無 題」

自分自身、同様の信念で活動を続けている身でありながら、改めて「命の尊さ」「日本の未来」を考えさせられる場面に直面した。

先日、ふとテレビのスイッチを入れNHKの画面から飛び込んできたその映像および内容は私にとって衝撃的であると共に、私自身が思い続けていた日本への危機感を多少和らげてくれるものであった。

その番組で紹介されたのは「教師 水谷 修氏」の若者達を救う為に教師として人として半生を捧げている壮絶な姿であった。私自身既に10年程前から日本の薬物禍に警鐘を鳴らしてきたものの、個人の及ぼす力の弱さを痛感してきた経験がある。皆、自分に関わる問題ではない、警察、麻薬取り締まり機関があるから大丈夫、自分が考える事ではなく誰かが解決してくれるだろうと言う、常に他力本願、無意識、無関心が問題を更に大きくし、中毒の低年齢化をもたらしてしまったことは私たちが心底反省せねばならない事実である。

薬物中毒の恐ろしさは、日々ごく平凡な生活が続いていると錯覚している日本人には想像を絶する世界である。かつて国連薬物対策機関の職員として、そして国連を離れた現在も薬物防止活動をミャンマーにおいて続けている私自身も、幾多の薬物中毒による凄惨な光景を目の当たりにして来た。

水谷氏の存在および活動は、おこがましいのだが、志を同じくする同胞がこの地球上、日本に、ましてや私の生まれ故郷横浜に存在したと言う因縁を感じさせるものであった。

あくまで私見として御理解頂きたいが、これまで数十年間に亘り、日本において人が人と真剣に向き合い、理解する事を避けてきたこと、個人的な利害によって他を切り捨てる、社会環境などには目もくれずひたすら自身の欲望を満たす為に邁進する、その欲望を満たす事によって莫大な利益を得ようと考える・・・ 子供たちもそんな大人たちを当たり前のように受け止め、自分達も大人になり、また同じことを繰り返す。

小さな子供達の叫びを無視し続け、積重ねられた叫びに子供達自身が耐え切れず、あがき、もがいている苦しみを誰が救わなければならないのであろうか。素直に育つ環境を破壊し、子供達に刃を突きつけているのは、まさしく私たち大人であることを真剣に受け止め、反省し、立ち上がらない限り日本の未来はないと一体誰が声を枯らして叫び続けなければならないのだろうか。

歪んだ心で「愛国者」を唱えつづける政治家達にもう頼る事は出来ない。まさに、日本が生きられる道は、今の子供達を、そして、これから命を授かる子供達を救う事に全身全霊を傾ける事以外に道は残されていない事を確信する。

 

水谷 修氏の不屈の魂に  合掌 一礼九拝

ヤンゴンにて

塾長 岩崎 亨

 

 

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